DELF・DALF(フランス語学力資格試験)の勉強法とレベルの目安を、公式の情報だけをもとにまとめました。内容は、日本の試験を管理する DELF/DALF日本センターのサイトと、日本センターのサイトで公開されている、試験を作る France Éducation international(FEI)の受験生ガイド(Manuel du candidat、フランス語)によるものです。一般向けの DELF(A1〜B2)と DALF(C1・C2)が対象で、小学生向けの DELF Prim と中高生向けの DELF Junior は含みません。試験の時間・合格の基準・学習時間の目安はDELF・DALFとはのページ、試験日はDELF・DALFの日程のページ、申し込みと当日の流れ・結果はDELF・DALFを初めて受ける人への記事にまとめています。

試験で問われる力

どのレベルも、聴解・読解・文書作成(作文)・口頭表現(面接)の4つの技能を評価します。日本センターは、試験問題は欧州語学検定協会(ALTE)の国際規格に準拠していると説明しています。聴解と読解の設問は、3つの選択肢から選ぶ、語や数字を短く書く、vrai/faux(正誤)を答えて根拠を抜き出す、線で結ぶ、といった形です(レベルによって違います)。

A1〜B2 の受験生ガイドは、試験の形式に「従来の形式」と「更新後の形式」の2つがあり、しばらく並行して使われると書いています。題数や設問は形式によって違います。

  • A1:聴解は、留守番電話のメッセージ、アナウンス、簡単な指示、短い対話。読解は、短いメッセージ(メール・招待状)、案内、広告、短い記事。文書作成は、用紙への記入と、40語以上の短いメッセージ。
  • A2:聴解は、駅などのアナウンス、留守番電話、ラジオ番組、母語話者どうしの会話。読解は、ポスター・メニュー・広告、メールや私信、規則やレシピ、新聞・雑誌の記事。文書作成は、出来事や体験を書く課題と、招待・お礼・謝罪・連絡などのメッセージ(各60語以上)。
  • B1:聴解は、日常の場面の対話と、仕事や一般的な話題のラジオ番組。読解は、パンフレットや広告から情報を探す課題と、一般的な関心の記事。文書作成は、資料をもとに個人的な見解を述べる160語以上の文章(手紙・メール・記事・フォーラムへの投稿)。
  • B2:聴解は、講演・ドキュメンタリーなどの長い放送と、インタビュー・ニュースなどの短い放送(聞く回数は1回のものと2回のものがある)。読解は、情報を伝える文章と論証する文章。文書作成は、立場を取って論証し、相手を説得する250語以上の文章(討論への寄稿、正式な手紙、批評記事、報告書など)。
  • C1:聴解は、インタビュー・講義などの録音を深く理解する課題と、ニュース速報やアンケートを全体的に理解する課題。読解は、考えを述べた文章(文学的または新聞の文章)1題。文書作成は、資料の要約(200〜240語)と、250語以上の意見のエッセイ。
  • C2:筆記は、約2,000語の資料から、構成された文章(記事・論説・報告・演説など)を700語以上で書く。

口頭表現(面接)の進み方は、初めて受ける人への記事にあります。

レベルの目安

6つのレベルは、CEFR の A1〜C2 に対応する、それぞれ独立したディプロムです。FEI の受験生ガイドには、前のレベルを受けなくても B1 を受けられる、と書かれています。学習時間の目安は、試験のページの表(日本センターのサイトの表)にあります。

語彙・文法の目録

FEI の受験生ガイドは「補足情報」として、CEFR のレベルごとの主な内容の目録(Inventaire linguistique des contenus clés des niveaux du CECRL)へのリンクを載せています。

レベルの選び方

  • 出願できるレベル:FEI の受験生ガイドは、前のレベルの合格や、ほかの試験・テストの証明を求められずに、受けたい試験に直接出願できるとしています。
  • 出願前のレベルの確認:日本センターは、合格のチャンスを逃さないよう、出願前に自分のレベルを確認することを勧めています。確認の方法として、TCF と ev@lang の2つを挙げています。ev@lang は FEI の評価認定部門が開発した、100%オンラインのテストです。読解・聴解・文法と語彙の3つの部分で評価し、結果はすぐに出ます。公式の資格ではなく、受験料は4,000円です。TCF はTCFとはのページにあります。
  • 合格した直後:合格したばかりの人は、次のレベルに出願するまでに十分な準備ができるか確認するよう、日本センターは案内しています。
  • 留学に必要なレベル:日本センターは、フランスへの留学では大学で通常 B1、グランゼコールやソルボンヌ大学などの名門大学では B2、博士課程では C1 が必要とされると説明し、出願前に教育機関へ確認するよう勧めています。

レベルを選ぶ目安(「〜を受験するためには」)

日本センターのサイトは各レベルに、「〜を受験するためには」として次のような項目を挙げています。FEI の受験生ガイドでは、同じ項目が「Je choisis le DELF A1 si je peux…(〜ができるなら DELF A1 を選ぶ)」という形で書かれていて、レベルを選ぶ時の目安として示されています。

  • A1:自己紹介・他己紹介ができる。簡単な指示やアナウンスを理解できる。簡単な質問に答えられる。買い物をして支払いができる。
  • A2:お店や公共交通機関の利用など、日常の簡単な課題ができる。過去の出来事を話せる。好き嫌いとその理由を話せる。私信を理解して返事を書ける。
  • B1:出来事や経験、夢を語れる。意見を述べて論拠で正当化できる。主なニュースを理解できる。提案や仮説を立て、助言できる。
  • B2:論拠や例を使って意見を守れる。利点と不都合を述べられる。原因と結果を話せる。誰かを説得できる。メモを取れる。ニュースの要旨を理解できる。
  • C1:長くて難解な文章を理解し、明示されていない意味もつかめる。流暢で自然に自己表現できる。社会的・専門的・学術的な場面で効果的・柔軟に言葉を使える。複雑なテーマを、明瞭で構成の整った形で述べられる。
  • C2:細かな意味を正確に伝えられる。暗示的な意味を含む慣用表現や一般的な表現を使いこなせる。困難があっても、相手にほぼ気づかれずにスムーズに言い直せる。

公式の練習の材料

  • 受験生ガイド(フランス語):レベルごとの PDF で、日本センターのDELF のページとDALF のページから開けます。試験の流れ、各試験の内容と設問の形式、各試験の「conseils(助言)」、採点表が載っています。
  • 試験問題例(フランス語):レベルごとの問題例へのリンクが、日本センターのページにあります。入手先は試験のページにまとめています。
  • 模擬試験(試験センターで実施):日本センターの「受験に役立つアドバイス」によると、DELF の筆記の模擬試験があります。聴解と読解は FEI で、文書作成は日本の試験官が採点します。日程は最寄りの試験センターのサイトで確認するよう案内されています。料金は日本センターのページには書かれていません。FEI の受験生ガイドにも、試験センターが DELF 一般向けの練習の試験(聴解と読解のみ)を行うことがある、とあります。

日本センターと FEI が勧めている準備

  • 日本センター(全体):出願後は試験問題例に目を通して必要な知識を確かめることを勧めています。問題の数・種類・時間、聴解を聞く回数、求められる課題は試験ごとに違うので、受ける試験の形式をウェブサイトで確かめてから準備するよう案内しています。
  • 日本センター(聴解・読解):受験者に求められているのは、資料のすべての語を理解することではなく、ある課題を実行することだと説明しています。聴解では、設問の指示を先に読んで探す情報の見当をつけること、2回聞く時は2回目に難しい問題を確認することを挙げています。読解では、キーワードや重要な箇所を囲むこと、題名や末尾の情報から誰が誰に向けて書いているかをつかむことを挙げています。
  • 日本センター(文書作成・口頭表現):文書作成では、テーマを読んでまずプランを立てること、読みやすい字で簡潔な文で書くこと、下書きの後にもう一度設問を読んで課題にすべて答えているか確かめることを挙げています。口頭表現では、質問が分からない時に面接官へ言い直しを頼むのをためらわず、その頼み方を前もって考えておくことを勧めています。
  • FEI(受験生ガイド):各試験の「conseils」で、設問と指示を先に読むこと、下書き用紙の内容は採点されないこと、文書作成では語数を数えて答案の下に書くことなどを挙げています。

作文・口頭表現の採点の観点

FEI の受験生ガイドに、文書作成と口頭表現の採点表(grille d’évaluation)の観点が載っています。筆記の答案は受験者の名前を伏せて採点されます。採点は、筆記が2人の採点者で行われると書かれています。面接官は2人です。A1〜B1 では1人が質問し、もう1人が誤りとできたことを記録します。B2・C1・C2 では1人または2人が質問し、2人とも記録します。

文書作成

  • A1〜B2 に共通:課題を守っているか(指示された文書の種類・テーマ・最低語数)、一貫性と結束(始まりと終わり、論理的な順序、接続語)、語彙と綴り、文法と綴り。
  • A1・A2:情報を伝える、描写する、体験を語る、印象を述べる、やりとりする力。短いメッセージの課題では、挨拶や tu/vous の使い分けも見られます。
  • B1:事実を提示する力(事実・過去の出来事・体験・例)と、考えを述べる力(印象や意見と、それを支える例)。文法では、文の組み立て、過去の時制や条件法の使い分け、一致・代名詞・前置詞が挙げられています。
  • B2:事実の提示、立場を取っての論証(賛否、利点と不都合)、呼びかけや文体の適切さ、構成(段落・句読点・レイアウト・接続表現)。文法では、過去の時制、条件法・接続法・命令法・ジェロンディフ、単文と複文の使い分けが挙げられています。
  • C1・C2:多くの観点を「未回答・不十分」「水準未満」「水準」「水準を超える」の4段階で評価します。C1 の要約は、長さの規定、資料への客観性、要約の遂行、一貫性、語彙、文法。C1 のエッセイと C2 のエッセイは、課題の遂行、一貫性と結束、社会言語的な適切さ、語彙、文法。

口頭表現

  • A1〜B2:語彙(幅と使いこなし)、文法、発音を課題全体で評価し、これに各部分の課題の達成が加わります。発音は、A1・A2 では「伝わるか」、B1 は話す速さ・流れ・リエゾン、B2 は話す速さ・抑揚が挙げられています。
  • 各部分の課題:A1 は質問に答えての自己紹介、相手への質問と答えの理解、買い物の場面での情報の依頼と礼儀。A2 は自己紹介、出来事や活動の紹介、場面での情報の依頼・提案と礼儀。B1 は解決策の提案を含む対話と、発表の構成と例。B2 は資料の主題と問題提起、立場の論証と例、討論での反応と譲歩。
  • C1・C2:課題の遂行(C1 は発表と対話、C2 は資料の紹介・見解の提示・討論)と、語彙・文法・発音を、4段階で評価します。

出典